雅楽(ががく)とは
仏教伝来と時を同じくしてアジア大陸から輸入された音楽や舞と、日本古来の歌と舞とを融合したものであり、平安朝に国民性に合うように手を加えられた日本の雅楽として今日に受け継がれています。平安時代に1世紀以上かけてされた雅楽は千数百年以上の歴史を有し、世界最古の形式音楽いわゆるオーケストラとして世界に誇れる古典芸術であります。
使用される楽器には、日本古来の神楽笛(かぐらぶえ)・和琴(わごと)などのほかに外来の笙(しょう)・篳篥(ひちりき)・龍笛(りゅうてき)などの管楽器と、箏(こと)・琵琶(びわ)などの絃(げん)楽器と鞨鼓(かっこ)・太鼓(たいこ)・鉦鼓(しょうこ)などの打楽器があります。
楽器の説明
笙(しょう)
雅楽に用いる管楽器。匏(ふくべ)/(かしら)と呼ばれる風箱に長短17本(うち2本は装飾用)の竹管を円周に沿ってさしこみ,匏の横側にあけられた吹口から息を吹き込んだり,吸ったりして,竹管の下端に付けられた金属製リードを振動させる。各管ともリードの近くに小さな通気孔が開けてあり,これを指でふさいだ管だけが鳴るようになっている。
篳篥(ひちりき)
雅楽の管楽器の一。奈良初期に中国から伝来した縦笛の一種。現在のものは、長さ6寸(約18センチ)の竹管の表に7孔、裏に2孔をあけ、上端に蘆(あし)製の舌を挿入したもの。音は強く、哀調を帯びる。
竜笛(りゅうてき)
雅楽の唐楽(とうがく)で用いる管楽器。横笛(おうてき)とも。全長約40cm。7孔の横吹きの楽器で,雅楽で単に〈ふえ〉というと,これをさす。舞楽や管弦においては,常にこの竜笛の音頭の独奏から始まる。
舞楽とは
雅楽の演奏様式の一種。唐楽や高麗 (こま) 楽を伴奏とする舞踊。「管弦」に対する。広義の雅楽に含まれる国風 (くにぶり) 歌舞の東遊 (あずまあそび) ,倭舞 (やまとまい) など儀式音楽の舞は原則としてこれには含まない。奈良時代以降,宮廷や社寺の各種行事や法会などに採用され,いわゆる雅楽の最も中心的,重要な部分として継承された。今日,宮内庁楽部のほかいくつかの団体および各地の社寺でこの伝統を受継いでおり,民俗芸能のなかにもその影響を伝えているものがある。舞楽は唐楽を伴奏音楽とする左方と,高麗楽を伴奏音楽とする右方という2つの流儀と伝統から成る。この2つは舞の振り,舞人の登退場の法,装束,面など舞楽作法の全般にわたって対比的に取扱われた。番組編成においては,舞姿の似たものを取合わせて左右の舞を対にする「番 (つがい) 舞」の制がある。また舞容から,4人,6人または8人の舞人が列をなして優雅に舞う「平舞 (ひらまい) 」と,1人,2人の舞人が舞台上を闊達に動き回る「走舞 (はしりまい) 」の2種があり,後者は「走物」とも呼ばれる。また舞具を用いるか否かで「文舞 (ぶんのまい) 」と「武舞 (ぶのまい) 」に分けることもある。今日楽部で演奏される曲数は,左方三十数曲,右方二十数曲である。
声明とは
仏教儀式において仏・菩薩や祖師へ、音曲をともない礼拝供養する宗教音楽のこと。
天平勝宝6年(754)東大寺大仏開眼法要に声明を用いた記録がある。平安時代初期に伝教大師最澄(766~822)・弘法大師空海(774~833)がそれぞれ伝えて、天台声明・真言声明の基となり、その後、各宗独自の声明が形成され、現在に継承されている。